雨も降っていないのに、ボンネットの下が濡れている。
車を運転していると、なんだか甘い香りがする。
そのような経験はありませんか?
もしかしたら、ラジエターの中に入っている、冷却水(クーラント)が漏れているかもしれません。
ラジエターと冷却水は、エンジンが熱くなりすぎないように、冷やす役割をしています。
冷却水の漏れを放っておくと、エンジンが冷えずにオーバーヒートを起こし、最悪の場合エンジンを壊してしまいます。
この記事では、ラジエターの役割や構造を説明しながら、液漏れの原因と対策方法を解説します。
ラジエターってなに?
ラジエターは、エンジンが極端に過熱するのを防ぎ、正常な動作と耐久性を確保するため、大切な役割を果たしています。
エンジンが高温になりすぎると、オーバーヒートなどの問題が発生してしまうからです。
ラジエターは、走行中の風を効果的にラジエターに取り込むため、車のフロントグリルの後ろに配置されています。
ラジエターの構造
ラジエターは、熱を効果的に放散するため、アルミニウム製または、銅製で作られているのが一般的です。
ラジエターは、フィン、チューブ、タンクの組み合わせで作られています。
フィンは、ラジエターの外側にある羽状の部品です。空気と触れる面積を広げることで、効果的に熱を放出させています。
チューブは、冷却水が通る経路です。ラジエター中央でフィンの間を通るように配置されています。
冷却サイクルは、以下の通りです。
- 冷却水は、エンジン内部のウォータージャケットと呼ばれる通路を通り、エンジンから熱を吸収
- エンジンの熱を吸収した冷却水は、アッパータンク(タンク上部)に集められる
- 冷却水は、アッパータンクからチューブを通して、ラジエーターコア(中心部分)に送られる
- 冷却水は、コアを通過するときに、運転中の風やファンによって冷却される
- 冷却された水はロアータンク(タンク下部)に集められる
冷却水は、ウォーターポンプによって循環させられて、エンジンが熱くなりすぎないように冷却を繰り返します。
ラジエターと冷却水、ラジエターキャップはいつ交換する?
ラジエーターには寿命があります。冷却水やラジエターキャップも、ずっと使い続けられるわけではなく定期的な交換が必要です。
交換目安は、それぞれ違うので点に注意しましょう。
ラジエターの交換
ラジエターの寿命は、一般的には約10年から15年程度とされています。比較的長く使える部品のため、交換する機会は少ないでしょう。
しかし、使用状況や、適切なメンテナンスが行われたかどうかによって、寿命は大きく変わってくるので注意が必要です。
たとえば、長距離を走る車や過酷な環境で使用される車は、より早い段階でラジエターの交換が必要になるでしょう。
また、定期的な冷却水の交換が行われないと、汚れやサビなどが蓄積してしまうことで、冷却効果が悪くなってしまいます。
定期的な点検やメンテナンスを行い、異常が見られた場合は早めの対策を取るのが大切です。
冷却水とラジエターキャップの交換
冷却水は、酸化や腐食を防ぐため、定期的な交換が必要です。
ラジエター液、クーラントなどと呼ばれる冷却水ですが、長く使える冷却水をLLC(ロング・ライフ・クーラーント)と呼びます。
一般的には、2年(新車で3年)ごとに冷却水の交換が推奨されています。
最近の車は、スーパーLLCと呼ばれる、超長期の使用ができる冷却水が使われていることが多くなりました。
交換サイクルは、8万kmまたは4年(新車で16万kmまたは7年)で、とても長く使えます。
ラジエターキャップも定期的に点検し、劣化や冷却水の漏れがないか確認が必要です。
ラジエターキャップには、冷却水の密封や、ラジエター内の圧力を調整し、冷却水の沸点を上げる役割があります。
ラジエターキャップに不都合が出れば、オーバーヒートの原因になってしまうので、注意が必要です。
一般的にラジエターキャップは、5年から7年ごとに交換が推奨されています。
ただし、ゴムのパッキンを使っているため冷却水の交換タイミングで、一緒に交換するのが安心です。
ラジエターから冷却水が漏れる3つの原因
ラジエターから冷却水が漏れる原因には、大まかに次の3つがあります。
- ラジエターの本体の破損
- ウォーターポンプのシールやガスケットの劣化
- ホース類の劣化
ラジエターの本体の破損
車を使用し続けていると、振動や熱の影響によって、ラジエターの内部や接合部に、ひび割れや穴が開いてしまうことがあります。
また、走行中に飛び石などが当たることで、ラジエターが破損してしまう場合もあります。
ウォーターポンプのシールやガスケットの劣化
ウォーターポンプとエンジンの接合部は、ガスケットで密着されています。
しかし、ガスケットが劣化してしまうと、密着性が弱まり冷却水が漏れる原因になってしまいます。
同様に、ウォーターポンプの回転部に使われている、メカニカルシールの劣化も冷却水漏れの原因になります。
ホース類の劣化
冷却水の通り道には、一部、ゴムのホースが使われています。ラジエターやヒーターコアに繋げられているホースです。
接続部はバンドで固定されていますが、経年劣化でゴムが痩せたり、硬化してひび割れると、冷却水漏れの原因になってしまいます。
いずれの場合でも、劣化や破損した部品の交換が必要です。
ラジエターから冷却水が漏れたときの対策方法
冷却水が漏れているのを放置してしまうと、冷却システムの圧力が低下し、オーバーヒートを引き起こす危険性があります。
冷却水が漏れていることに気がついたら、すぐにディーラーや整備工場に相談して、修理などの対応をした方がよいでしょう。
しかし、旅行などで遠出をしている時に、冷却水が漏れていることに気がついた場合は、どうしたら良いのでしょうか。
緊急時の対策方法として、次の3つを紹介します。
- 漏れ止め剤を使う
- 冷却水を継ぎ足しながら走る
- 水道水を使う
漏れ止め剤を使う
漏れている冷却水が少量の場合は、ラジエター液の漏れ止め剤が有効です。
ラジエター液の漏れ止め剤は、カー用品店やホームセンターで購入できるでしょう。
漏れ止め剤は、冷却水に混ぜることで漏れを止めます。
エンジンが冷えてから、ラジエターキャップを外して漏れ止め剤を注入します。エンジンが熱い内にラジエターキャップを開けると、危険ですから気をつけましょう。
冷却水を継ぎ足しながら走る
ラジエター液の漏れ止め剤を使用したけれども、漏れが止まらない場合には、冷却水を継ぎ足すことで走行が可能です。
応急処置になりますが、大きな漏れでなければ、家まで帰ることができるでしょう。
冷却水は、ガソリンスタンド、カー用品店やホームセンターで購入できます。
ラジエター液の漏れ止め剤を使う際には、念のため一緒に購入しておくと安心です。
安いものなら1,000円程度で購入できるでしょう。
水道水を使う
山の中などを走っていて、近くに何も見つからない場合は、水道水を冷却水の代わりに使えます。
ただし、あくまでも「一時的」にです。
水道水を使い続ければ、冷却システムを錆びさせてしまったり、寒い時期には水が凍ることで、エンジンを壊してしまう危険性があります。
紹介した緊急時の対処法では、根本的な問題の解決にはなりません。
なるべく早く、ディーラーや整備工場で修理してもらうのが安心です。
ラジエターの液漏れ修理費用はどれぐらいかかる?
ラジエターの液漏れの修理費用は、原因や交換する部品によって変わってきます。
ラジエーターの交換費用は、純正部品か社外の部品かによって大きく変わります。
また、輸入車や高級車の場合は、より部品代が高くなりがちです。
修理費を安く済ませたい場合には、OEMパーツを使って修理をしてくれる、整備工場を探してみましょう。
OEM部品は、純正品と変わらない性能と価格の安さが特徴です。上手に使えば、修理費用を抑えられるでしょう。
まとめ
この記事では、ラジエターの役割や構造を解説しながら、液漏れの原因と対策方法を紹介しました。
ラジエターの液漏れは、エンジン冷却システムに、重大な問題を引き起こす可能性があります。
冷却水の漏れによって、エンジンがオーバーヒートし、最悪の場合はエンジンが壊れてしまうこともあります。
定期的な点検とメンテナンスをして、冷却水の漏れが発生しないようにするのが大切です。
もし、冷却水が漏れていることに気がついたら、ディーラーや整備工場に相談してみましょう。
「お車の困った」は、信頼できる自動車整備工場の千城自動車工業にお任せください。
国家一級自動車整備士による高い技術力で、お車の困りごとを解決いたします。
年間1000件を超える修理や、メンテナンス実績がある千城自動車工業では、一番コストがかからない修理方法を提案させて頂きます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。